来月から働き方改革関連法が施行されます。
わたしたち労働者側はどのようなことが変わるのか、簡単にまとめてみました。
働き方改革とは?
少子・超高齢化社会になり、生産年齢人口(15~64歳)が想定以上のペースで減少していることを受け、労働力不足の解消を目的につくられました。
働き方改革の三本柱として、下記のようなことがカイゼンされていく見込みです。
1.労働時間の長時間化の是正
2.正規・不正規の非合理格差の解消(同一労働同一賃金の義務化)
3.柔軟な働き方の実現
労働時間の長時間化の是正に向けて
日本は国際的にみても多くの労働者が長時間労働しており、特に働き盛りの3,40代の長時間労働は出生率にも影響していると言われています。
高度成長期のようながむしゃらに働いた分だけ待遇が良くなる時代とはもう違うんだニャ!
今回の働き方改革では下記のような取り組みが盛り込まれています。
- 法改正による時間外労働の上限規制の導入
- 勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
- 健康で働きやすい職場環境の整備
時間外労働の上限規制(大企業 2019年4月、中小企業 2020年4月)
一部職種を除き、時間外労働の上限が月45時間年360時間となります。労使協定を締結している場合でも年720時間を上限とし、休日労働も含めて「連続する2カ月から6カ月平均で月80時間以内」「単月で100時間未満」、「原則である月45時間を上回る回数は年6回まで」というガイドラインが設けられました。
勤務間インターバル制度の普及推進(2019年4月)
まだ具体的な休息時間は決められていませんが、過重労働による健康被害予防のため、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に、一定時間の休息を確保する努力義務ができました。
高度プロフェッショナル制度の創設(2019年4月)
高度プロフェッショナル制度により労働者へ過度の労働負担がかかることを避けるための対策として、健康確保措置が追加されました。具体的には、年間104日の休暇を義務化し、以下の4つの措置のうち1つを実施することが義務づけられました。
- インターバル措置
- 1ヶ月または3ヶ月の労働時間の上限設定措置
- 2週間連続の休日確保措置
- 臨時の健康診断の実施措置
同一労働同一賃金の義務化(2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日施行)
「パートタイム・有期雇用労働法」により、同一企業内の正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくす目的で、基本給や賞与、役職手当、食事手当、通勤手当等あらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができるようになり、説明を求めた労働者に対する不利益な取扱いも禁止されています。
これは派遣労働者も対象となり、【派遣先均等・均衡方式】と【労使協定方式】の2パターンで同一待遇となるよう待遇改善されていく予定です。
派遣先均等・均衡方式とは、派遣先で直接雇用されているパートタイマーもしくは有期雇用労働者で責任の範囲や職務・業務の内容が同一の方と均等・均衡待遇にしていく方式です。
労使協定方式とは、派遣元と待遇についての労使協定を締結する方式で、賃金は派遣元企業で働く正社員の金額をベースとして考えます。派遣元企業で働く正社員の中で該当する職種がいない場合には、派遣元企業の地域において同種の業務・同程度の能力および経験を有する労働者の平均的な賃金が基準となります。
職種ごとの賃金と地域差の一覧は厚生労働省より公表されています。
柔軟な働き方の実現に向けて
年次有給取得の義務化(2019年4月)
有給休暇が年10日以上ある労働者について、そのうち5日の取得が企業に義務付られました。
フレックスタイム制の清算期間延長(2019年4月)
フレックスタイム制の清算期間が現行の1ヵ月から3ヶ月に延長されます
最後に(私見)
正社員と非正規社員の待遇格差を埋める同一賃金同一労働は、裏を返せば身分に応じて職務の責任範囲を明確にすれば賃金に差をつけてもokということなので、非正規社員と正社員の区別がより明確になってしまうのではないかと心配しています。
「あなたは非正規なのでこれだけしてればいい」とされてしまうとスキルアップ・キャリアアップもなかなか望めなくなってしまいます。
まだ決まっていない部分も多い働き方改革なので、これから先どう変わるかわかりませんが、わたしたちそれぞれが自分の人生で何を優先にするのか、働くことで何を得たいのか考えざるをえない時代が来るんだろうと思っています。